家族が逮捕された!早期釈放には弁護士に連絡を!~刑事事件~

 

弁護士の山田雄太です。

 

ご家族が逮捕された場合、すぐに弁護士を探してください。

 

 

ご家族が逮捕された場合、その連絡は突然来ます。

特に、普段、何の問題もなくご家族が日常生活を送っているときは、なおさら突然に感じます。

見知らぬ電話番号から電話がかかってきて、電話に出たら「○○さんが逮捕されました。」と警察から連絡がくるのです。

(もちろん、知人の方が逮捕の現場にいたら、あらかじめ伝え聞くことができますが。)

その時、家族として、逮捕された方のために何をすべきか、あるいは、弁護士が何が出来るかを、この記事ではお伝えいたします。

(本記事では、えん罪の場合ではなく、基本的にはご本人に何らかの逮捕の理由がある場合を想定して書かせていただきます)

 

目次

1 警察から連絡がきたらまずは弁護士を探す

 (私ももちろん対応します090-8490-5089)

2 弁護士に依頼して逮捕された方に会いに行ってもらう

3 何故弁護士にすぐに接見に行ってもらわないといけないのか

4 逮捕から始まる身柄拘束の制度のご説明

5 早期身柄解放のチャンスは大きく3回

6 警察から連絡が来てから24時間が勝負

7 弁護士は家族の依頼を受けてから身柄解放のために何をするか

8 早期身柄解放ができるかで人生が変わる

 

では、本編です。

1 警察から連絡がきたらまずは弁護士を探す(自分で探す)

警察が家族に連絡をするのは、逮捕の翌日(の朝)です。

逮捕した瞬間には連絡をしません。

いちど、警察署に連れて行って、取調べをしてから連絡することが多いです(現行犯逮捕でその場に家族がいる場合には、すぐに逮捕の事実がわかりますが。)。

かつ、日常的に普通の生活を送っている人が逮捕される最大の原因が「酒」です。

お酒を飲んでトラブルが起き、夜(深夜)に逮捕されることが多いので、

その意味でも、警察は、翌朝に逮捕の事実を家族に伝えます。

最近の警察は、「〇〇さんが逮捕されたから、すぐに弁護士を探しなさい」と言って、弁護士を探すよう言ってくれますが、昔は、わざわざ家族に連絡をくれない時代もありました(その場合には、国選弁護人が会いにいって初めて家族が逮捕の事実を知ることもありました。国選弁護人の話はまた機会を別にしてお話します。)。

その意味では、昔に比べれば、家族は早期に動き出しがしやすくなったといえます。

で、警察から家族が逮捕されたと連絡が来たら、

何はともあれ「弁護士をすぐに探す」ことが重要です。

なぜか。

それは、弁護士が早く動き出しができればできるほど、家族の早期の身柄解放の可能性が高まるからです。

(重すぎる犯罪(例えば殺人や強盗)が被疑事実になっている場合にはなかなか難しいこともありますが)

また、弁護士でないと、時間に関係なく逮捕された方に会いに行くことができません

(その意味では、外にいるご家族が自分でできることには限界があります。)。

逮捕から時間がたっていなければいないほど、弁護士ができることが増えます。

そのため、すぐに弁護士を探してください(インターネットでも探すことができます。)。

もちろん私も対応します(090-8490-5089)。

これは、絶対です。

 

2 弁護士に依頼して逮捕された方に会いに行ってもらう

弁護士が見つかったら、弁護士にすぐに逮捕された家族に会いに行ってもらってください。

弁護士でないと、逮捕された人への面会(一般面会)は著しく制限されます。

身内(家族)だとしても同じです。

 弁護士でなければ、平日の午前8時30分から正午まで、そして、午後1時から午後5時15分までの間で、15分から20分間しか会えません。

(一般面会の受付は、午後4時くらいで打ち切りにされることもあります。)

土日、祝日は一切会いに行けません。

かつ、逮捕されてから72時間の間は、取調べもあるため、なかなか一般面会は認められません。

さらに、一般面会は1日の間に1組しか行うことができないため、先にだれかに面会されてしまっていると、自分は面会できないということもありうるのです。

しかし、

弁護士であれば、24時間、土日、祝日関係なくいつでも逮捕された方に会いに行くことができます(これを「接見」といいます。)。

仮に、逮捕された方が取調べの最中であったとしても、初回の接見であれば、取調べの中断を求めて接見を行うことすらできます。

これは、どうあっても弁護士でなければできないことです。

そのため、時間が勝負の逮捕直後の場合には、弁護士が逮捕された方に少しでも早く会い、身柄開放のための活動に入るということが、釈放の有無を左右すると言っても過言ではないのです。

ご家族が逮捕されてしまったら、すぐにでも弁護士を探していただければと思います。

 

3 何故弁護士にすぐに接見に行ってもらわないといけないのか

では、なぜ弁護士にすぐに接見に行ってもらわないといけないのでしょうか。

それは、逮捕された本人に会って、初めて早期釈放のための活動を始めることができるからです。

逮捕された状況を一番わかっているのは、逮捕された本人であることが多いです。

もちろん、家族の目の前で逮捕された場合には、その家族も逮捕の状況を把握していますし、

逮捕された本人が泥酔していたら、そもそもなぜ自分が逮捕されたのか、自分がなぜ警察の留置所にいるのか、逮捕された本人が全くわからないこともあります。

しかし、多くの場合、断片的にでも逮捕された理由を覚えていることが多いです(自分が手錠をされるというのは相当インパクトのある出来事です。)。

そのため、弁護士は、まずは逮捕された本人に会いに行き、

「何があったのか」

「何故逮捕されたのか」

を聞きます。

これによって、弁護士は、

「逮捕された人が何をやってしまったのか(被疑事実)」

(あるいは何もやっていないのか)

「被害者はいるのか」

等々を把握します。

その上で、弁護士としては、逮捕された方のご家族と会い、

「身柄引受書」「陳述書」を書いていただき、

被害者の方がいらっしゃる場合には、なんとか「示談」(被疑者を許すという趣旨の紙にサインをしていただく)ができるよう活動をすることになります。

(その際はご家族に「示談金」をご用意していただきます)

そして、検察官に「意見書」を書き、逮捕された方の早期釈放を求めることになります。

(上記の活動を、ご依頼を受けてから実質24時間以内に行わなければなりません)

逆に言えば、上記のような弁護活動は、逮捕された方と会って初めて開始することができるのです。

逮捕された方に接見にいくのは、すべての弁護活動のスタートとなります。

そのため、

弁護士が少しでも早く、逮捕された方に接見に行くというのは、何よりも重要なことなのです。

 

4 逮捕から始まる身柄拘束の制度のご説明

身柄拘束の制度として大きく意識すべきは、

①逮捕(警察官による取調べ)

②検察官による取調べ・勾留請求

③裁判官による勾留質問・勾留決定

④勾留決定に対する準抗告

です。

以下に、その詳細を述べます。

 

(1)逮捕(①)

基本的に、逮捕される場合、

捜査機関が被疑者の身柄を拘束できる時間は72時間までです。

つまり、

逮捕の手続の段階で身柄を解放することができれば、どんなに遅くとも、逮捕から72時間以内に外の世界に帰ってくることができます。

(警察が逮捕の際に、逮捕時間を明確に言っている(「〇時〇分逮捕」と必ず言います。)のは、身柄を拘束できる時間制限があることを意識しているからです)

逮捕の時間制限72時間のうち、

48時間が警察の持ち時間であり、残りの24時間が検察の持ち時間です。

48時間の間に警察は被疑者の取調べをし、

検察官に被疑者を送ります。

 

(2)検察官による取調べ・勾留請求(②)

検察官は、警察署から送られてきた被疑者の取調べをし、

被疑事実はなにか、

本人が被疑事実を認めているか、

本人の認識はどのようなものか、

捜査は完了しているのか(証拠は十分に確保しているのか)

等の状況をもとに、

さらに身柄を拘束する必要があるか否かについて判断をします。

逮捕の時間制限である72時間を超えて身柄を拘束するためには、

裁判官による「勾留決定」

といって、裁判官による許可が必要となります。

この、裁判官の「勾留決定」が得られれば、

さらに、10日間、被疑者の身柄を拘束することができます(これを「勾留」といいます。)。

(この10日間は、日常的に仕事をしている方にとっては絶望的な長さであるということは容易に想像がつくでしょう)

検察官は、72時間を超えて被疑者の身柄を拘束する必要があると判断すれば、

裁判官の「勾留決定」を得るために、「勾留請求」をすることになります。

弁護士としては、逮捕された方を早期釈放するために、

どうあっても勾留決定をされるのを防ぐ必要があります。

そのため、

弁護士の早期釈放のための活動は、ほぼすべて「勾留決定」を取られないための活動であると言えるでしょう。

(対検察官では、弁護士は勾留請求をしないよう「意見書」を送ることになります。)

 

(3)裁判官による勾留質問・勾留決定(③)

裁判官は、検察官から勾留請求があると、被疑者と面接をして(これを「勾留質問」といいます。)、

「勾留決定」をするか否かを判断します。

勾留決定をするか否かにあたっては、主に、

被疑者が、

「逃亡をするか」(取調べに呼んだらちゃんと来るか)

「罪証隠滅をするか」(証拠を隠すか?あるいは、新たな自分に有利な証拠を作成するか?)

という要素から、勾留決定をするのが適切か否かを判断します。

逆に言えば、

「逃亡をしない」(ちゃんと取調べの呼び出しがあれば来る)

あるいは、

「証拠を隠さない」(証拠を隠すことは観念できない)

と判断してくれれば、

勾留はしないという判断(「勾留却下」といいます。)をしてくれます。

(弁護士としては、勾留請求をされてしまった際には、裁判官に向けて、勾留決定をしないよう「意見書」を書くことになります。)

 

(4) 勾留決定に対する準抗告(④)

裁判官によって、勾留決定がされてしまった場合には、

弁護士は、「勾留決定に対する準抗告」を行うことになります。

これは、「裁判官の勾留決定の判断は誤っているから、再度勾留決定をすべきか否か判断して欲しい」と裁判所に申し出ることをいいます。

この「準抗告」をした場合には、「勾留決定」をした裁判官とは別の裁判官3名(「裁判体」といいます。)で「勾留決定」が適切だったか否かについて再度審理することになります。

この裁判体によって弁護士による申立は正しいということになれば、

勾留決定は破棄され、

逮捕された方はすぐに釈放されることになります。

 

これ以降となると、「勾留取消」の申立等を行うことになりますが、

やはり、どんなに短くとも72時間に加えて数日間は身柄を拘束されることになります。

よって、「勾留決定」をなんとか免れるということが、早期釈放のために何よりも重要なこととなってきます。

 

5 早期身柄解放のチャンスは大きく3回

その意味で、早期身柄解放のチャンスは大きく3回です。

第一に、検察官が勾留請求をするか否かの段階での検察官の判断

第二に、裁判官が勾留決定をするか否かの段階での裁判官の判断

第三に、勾留決定を出した裁判官とは別の裁判体による、勾留決定に対する準抗告についての判断

となります。

この3回の機会それぞれに、

弁護士は、検察官、裁判官、(それとは別の)裁判体に対して、なんとか早期に身柄を釈放するための「意見書」を書いたり「準抗告の申立」をすることになります。

そして、上記の「意見書」や「準抗告の申立」の内容を充実させるためには、

弁護士と逮捕された方(そしてそのご家族)との綿密な打ち合わせが不可欠なのです。

これを、弁護士はご依頼を受けてから実質24時間以内に行う必要があるのです。

 

6 警察から連絡が来てから24時間が勝負

では、弁護士の活動時間である「実質24時間」とはどういう意味でしょうか。

例えば、金曜日の夜にAさんが逮捕されたとします。

そうすると、Aさんの家族(「Bさん」とします。)に警察から連絡がくるのは土曜の朝です。

(金曜の夜から土曜の朝までにおおよそ取調べは終わっています)

そして、警察から検察にAさんが送られるのは、日曜の朝です。

というのは、警察から検察に被疑者が送られるのは一日一往復しかなく、

朝、各警察署に警察のバスが巡回して被疑者を乗せ、検察庁に被疑者を連れていくことになります。

そして、検察庁の狭い待合室で、順番に被疑者が検察官に呼ばれ、

全員の取調べが夕方に終わって、

また、バスに乗って各警察署にバスが巡回して被疑者を連れて行くのです。

そうなると、日曜日の朝には、検察庁にAさんは連れていかれてしまいます。

Bさんが土曜日の朝、警察からの連絡を受けて、すぐに弁護士を探して連絡したとしても、

弁護士が、検察官に対して「勾留請求すべきでない」との意見書を出すまでのタイムリミットは、日曜日の朝までの24時間しかないことになるのです。

 

7 弁護士は家族の依頼を受けてから身柄解放のために何をするか

弁護士(私)が、依頼を受けてから24時間の間に、何をするかについて述べます。

 

まず、何よりも早くAさんと接見して事情を把握し、

(Bさんに伝えたいことがあれば伝言を預かって)

Bさんと会って、Aさんの状況を報告し、

Bさんに身柄引受書(要は、もしAさんを釈放してくださる場合には、Aさんの取調が今後も行われる際には必ずAさんを捜査機関に出頭させますとのBさんの誓約書)を書いてもらい、

さらに、Aさんを早期に釈放しなければどうしても困る家族の事情をBさんに聞いて、陳述書にまとめて、Bさんのサインをいただき、

BさんからAさんへの伝言を預り、

もし被害者(「Cさん」とします。)がいるのであれば「示談金」を預り、

Cさんに対して、弁護人として謝罪にいき、なんどか示談書にサインをしていただくようお願いをし(これは、24時間の間にできないことも多いですが)、

Aさんに二度目の接見に行って、

Bさんの伝言を伝え、

(Aさんが被疑事実をやったことに間違いがないのであれば)2時間ほどかけて反省文を手書きで書いてもらいます。

(警察署でこれをやって接見室を占領するとほかの弁護士に迷惑になりかねないので、深夜の11時くらいに接見に行きます)

そして、最後に集めた資料を基に、

検察官に対して「勾留をするべきではない」との「意見書」を書いて、日曜の朝に、検察庁にFAXをします。

意見書を書くにあたっては、

Aさんが

「逃亡はしない」

「罪証隠滅はしない」

という要素を全力で書くことになります。

「逃亡はしない」という要素であれば、

「定職についていて、家族もいるのに、あえてそれを捨て去って逃亡することは考えられない」とか、

「罪証隠滅はしない」という要素であれば、

「警察の捜査において証拠の収集はすべて終わっている」とか、

「あえて被疑者が被害者に接触をするということは考えられない(そもそも被害書の接触方法が被疑者にはない)」とか、

「逮捕時被疑者は一人であり、あえて被疑者が別の者を目撃者として虚偽の証言をさせることは考えられない」

等を書きます。

被疑事実があまり重くなければ(万引きや器物損壊、公務執行妨害の程度が軽いもの等)、

上記の準備をすべて行うことができれば、検察官への意見書によって検察官が「勾留請求をしない」との判断をしてくれる可能性はそれなりにあるでしょう。

しかし、これだけの活動をするには、どんな弁護士といえども24時間は欲しいところです(もちろん24時間より短かったとしても全力を尽くします。)。

そのため、家族が逮捕されたということがわかったら、すぐに弁護士を探してほしいのです。

 

8 早期身柄解放ができるかで人生が変わる

大げさな話ではなく、早期身柄開放ができるか否かで人生が変わります。

逮捕されてから72時間程度であれば、

急病になった等で、会社への説明もなんとかつくことが多いです。

しかし、この72時間をこえて、さらに10日間(最悪さらに10日間の合計23日)身柄を拘束され続けるということになれば、

会社にすべての事情を話さなければならなくなります。

そうすれば、最悪「解雇」ということにもなりかねません。

会社としては、逮捕される等の事情があった場合には、必ず会社に報告するよう一般的には定めているでしょう。

しかし、弁護士の立場とすれば、

逮捕された依頼者がどうしても「会社に知られたくない」という意思があった場合には、その意思を最大限尊重した上で弁護活動を行う必要があります(「誠実義務」といいます。)。

そのため、逮捕された依頼者の希望があれば、

会社に知られることなく72時間以内になんとか釈放できるよう、最大限努めることになるのです。

そして、72時間以内に外に出ることができれば、多くの人は、仕事と家族を守ることができるのです。

 

以上、長々と述べましたが、

家族が逮捕された際には、何よりも早く弁護士を探して連絡をしていただければと思います。

 

※ あわせて読みたい記事

その①

家族が逮捕された!早期釈放には身柄引受書を用意!~刑事事件~

その②

示談はなぜ必要か(不起訴・起訴猶予を取る)~刑事事件~

 

山田法律事務所 弁護士 山田雄太

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