キャバクラ・ホストでぼったくり!弁護士の交渉法とは?

 

弁護士の山田雄太です。  

 

私の事務所は、「新宿歌舞伎町」に近いこともあって、キャバクラ・ホスト等の飲食代金に関するトラブルについてご相談を受けることがございます。

そのため、今回は、 キャバクラ・ホストでぼったくり被害を受けたとのご相談を受けたときに、弁護士としてどのように対処・交渉をするか

について述べたいと思います。

 

目次

1 安易にお金を払ってはいけない(大前提)

2 トラブルを家族に知られたくない場合

3 払ってしまったお金を取り返す交渉・訴訟

4 払うべきお金を減額する交渉・訴訟

5 ぼったくり店に対する弁護士の主張として考えられるもの

(1)風営法違反

(2)条例違反

(3)クレジットカード規約違反

6 おわりに

 

では、本編です。

1 安易にお金を払ってはいけない(大前提)

ぼったくり店との間でトラブルが始まるのは、

ぼったくり店から飲食代金の請求をされたときです。

そのときに、びっくりするくらい高額の請求をされ、

お客の立場としては、泣く泣く払うか、

こんな高額の飲食はしていないと頑張るか、

選択を迫られることになります。

このとき、安易にお金を払ってはいけません。

弁護士の立場からすれば、

払ってしまった後で取り返そうとするのと、

払わずに頑張ってその後に減額交渉をするのとでは、

圧倒的に、払わずにその後減額交渉をするほうが交渉しやすいと言えます。

一回払ってしまったものを取り返すには、

任意にお店側が払ってくれない場合には、

訴訟提起をし、

判決をもらい、

それでも払ってくれなければ、

強制執行(預金への差押え等)をしなければなりません。

その手間を考えると、

辛いけれども、頑張ってその場では払わずに、なんとか帰り、

後日、払うべきお金の減額交渉するべきということになります。

 

2 トラブルを家族に知られたくない場合

先ほど、ぼったくり店から高額な請求をされたとしても、

なんとかその場では払わずに帰り、

その後、減額交渉をするべきと申し上げました。

しかし、帰ろうとする際

多くの場合、電話番号だけでなく、住所を教えるよう

強く要求されると思われます。

そして、住所を教えなければ返さないというスタンスを取るでしょう。

これは、ある意味考えられるところでお店側からしたら、逃げられたときに追いかける方法(最後は訴訟等)がないのは困るということでしょう。

そして、要求されたとき、警察に一緒に行くこともあり得ますが、

警察も「民事不介入」だから自分たちで話をつけてということも多く、

結局、住所を教えない限り、なかなか変えることができません。

しかし、その際、ご家庭がある方など、住所を教えることに強い抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。

そのようなときに、弁護士を呼び、

その弁護士と委任契約を結べば、

弁護士がその方の代理人となって、

お店側との全ての交渉をやってくれます。

そして、その際、重要なのは、お店に自分の住所を伝えることなく、

弁護士にすべて託したということで帰ることができるということが大きなポイントとなります。

その後は、弁護士がすべて窓口となって、お店との間で交渉を始めてくれることになります。

 

3 払ってしまったお金を取り返す交渉・訴訟

払ってしまったお金を取り返すには、まずは、交渉です。

交渉によって、任意に払ってもらえない場合には、

訴訟をするしかありません。

その場合、

ぼったくり、つまり金銭を支払ってもらう理由がないのに過大な金銭の支払を受けたということを理由とするので、

不当利得返還請求

もしくは、

不法行為に基づく損害賠償請求

をすることになります。

そして、訴訟を少なくとも半年から1年ほど行って、

判決をもらい、

それでも任意に払ってくれなければ、

そのお店の財産を調査して、

(弁護士法の23条照会等により調査を行います。)

強制執行を行うことになります。

 

はっきり申し上げて、

かなり時間も労力もかかるので、

ここまでして取り返そうと頑張ってくれる方は多くはないと言えるでしょう。

 

4 払うべきお金を減額する交渉・訴訟

逆に、なんとかその場でぼったくり店に対してお金を払わずに、

その後に交渉するということで帰ってくることができれば、

弁護士としては、そのお店との間で、

支払うべきお金を減額する交渉を行うことになります。

そして、私の感覚では、

訴訟にならず、交渉で無事に解決する可能性がそれなりに高いといえます。

なぜなら、

お店としても、通常よりかなり高く請求しているという自覚がありますし、

ここで、過度に争ってしまうことで、

むしろお店の評判が下がったり、

営業そのものに影響が生じてしまうことを恐れるからです。

そのため、弁護士が減額の交渉をした場合、

多くの場合(一切支払わないと言うことは当然できませんが)、

払うべきお金を決めて、

和解契約書により、

これで終わり、その後はお互い何も言いませんよ、

という内容の「清算条項」を入れて解決することができると考えられます。

 

5 ぼったくり店に対する弁護士の主張として考えられるもの

(1)飲食をしていないものについて伝票に記載されていること

基本的に、お店側は、伝票に記載されている内容をもって、

飲食代金の請求をしてきます。

その伝票に記載されている内容が、

自分も飲食しておらず、

かつ、

自分についた女性(男性)も飲食していないものであった場合、

当然、支払うべき義務がありません。

 

(2)メニュー表が一切提示されていなかったこと

メニュー表が一切提示されず、飲食を提供されていた場合、

実は、お店側に重大な問題があることになります。

・風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)、

・風営法を受けた国家公安員会規則

・条例は、

メニュー表が示されなかったことによる料金トラブルを防ぐため、

風俗営業店(キャバクラ、ホスト等は当然これにあたります)に対し、

お客に料金表の提示を遵守事項として定めています。

メニュー表が示されなかったという事実を示し、

お店側に、風営法違反ですよ等と言うことは、

お店側にはかなりのインパクトがあります。

それは、風営法違反となると、営業停止の処分につながりかねないため、

そのような指摘を受けることは、

お店としては何よりも避けたいからです。

(逆に言えば、風俗営業店を運営している方は、是非、料金表をお客様にご提示して頂きたいと思います。)

 

(3)無理やりクレジットカードの決済をされそうになったこと

無理やりクレジットカードの決済をされそうになった場合、

大きく二つの問題があります。

第一に、

風営法や条例に反する「料金の取り立て行為」となることです。

このような行為は、厳格に風営法や条例により禁じられており、

これに違反すると、

営業停止につながったり、

刑事罰の対象になったりします。

そのため、無理やり支払わされそうになった場合には、このことは必ず主張するべき内容になります。

 

第二に、

無理やりクレジットカードの決済をされそうになったことは、

そのお店が「クレジットカード規約」に違反したことになります。

これは、

クレジットカード会社が、無理やり払わせようとしてはいけないとの内容を、

「クレジットカード規約」という形で文言化しているものです。

(すべては調べていませんが、全てのクレジットカード会社が禁止していると思います)

そして、無理やり払わせようとしたという行為は、

違反の程度としても重いため、

契約解除事由にもあたることが多いと言えます。

よって、このような無理やり払わせようとするような行為があった場合には、

クレジットカード規約の違反もそのお店に指摘することになります。

 

6 おわりに

以上、色々と述べましたが、

ぼったくり店からあまりに過大な料金支払の請求があった場合、

その場ではなんとか支払わずに、

警察署に一緒に行く等して、

電話番号等の連絡先を交換して帰り、

電話番号の交換だけではなく住所を示すことを強く求められて帰れない場合、

弁護士を呼んで自分の代わりに連絡先の交換をしてもらい、

その弁護士を代理人として上記のような交渉する

というのがもっとの望ましい流れと言えます。

 

そして、何よりも重要なことは、

絶対にこんな支払請求をされるのはおかしいと思ったら、

なんとか頑張ってその場では支払わずに、

その後に交渉するという形にもっていくということです。

ぼったくり店に遭遇してしまった場合、

精神的には辛いと思いますが、

何とか頑張って帰るなり、弁護士に連絡して頂ければと思います。

 

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