親権とは(総論)~離婚~

 

弁護士の山田雄太です。

 

今回も、「離婚をすると決めたら~離婚~」

離婚をすると決めたら(総論)~離婚~

で述べた、離婚の際に考えるべき問題点について、個別に述べていきます

今回は、親権とは何かについて検討しようと思います。

 

親権とは、子供を育てる権利及び義務という理解でまずは間違いありません。

しかし、細かく申し上げると、親権の内容は、身上監護権財産管理権に分かれます。

ごくまれに、一方に親権を認め、他方に身上監護権を認めるという形で親権者と監護者を分離することがありますが、これは、親権の中身が二つに分かれていることに由来します(もっとも、近年は裁判所は、ほとんど親権者と監護者の分離をしないようです)。

 

次に、婚姻中の父母は、共同して親権を行使するのが原則です(民法818条3項)。父母双方が共同して親権を行使することが子の健全な養育のうえで望ましいと考えられているからです。

 

しかし、父母が離婚するときは、父母の一方を親権者と指定しなければなりません(民法819条1項、2項、5項)。

逆にいうと、父母のどちらかを親権者と指定しない限り離婚はできないのです(なお、母が妊娠中に離婚をすると、母が親権者となります(民法819条3))。

その為、離婚に際して、父母のどちらが親権者になるかについて、父母で争いが生じることが起こり得るのです。

 

親権者を決める手続としては、調停という話し合いの場を設けるか、審判、訴訟の場で裁判官が一定の判断をするかによることになります。

夫婦の間で親権について意見が一致しなかった場合には、多くの場合、家庭裁判所に離婚調停(夫婦関係調整の調停)の申立て(家事244条)をすることになります。

この調停の場では、調停委員という裁判所の職員が間に入り、双方の主張を交互に聞き、円満に解決する方法を探ることになります。

また、場合によっては、家裁調査官という、これも裁判所の職員が、父母それぞれの養育実績、今後の養育環境、子供の意思等を調査し、裁判官及び当事者に意見を伝えることがあります。

 

調停での話し合いがつかない場合には、審判で、親権者を父母のどちらにするか結論が出されることになる(民法819条1項、5項、家事別表第2の8項)か、離婚訴訟の判決で父母どちらかが親権者と決められることになります(民法819条2項)。

ただし、調停での争点(親権、慰謝料、財産分与等)が多い場合には、審判に移行することは少なく、当事者のいずれかが離婚訴訟を提起することが多いと思われます。

審判や離婚訴訟においても、家裁調査官の調査が入り、その調査を踏まえ、家庭裁判所の裁判官が判断することになります(人事訴訟法32条、33条、34条)。

 

以上を踏まえると、家裁調査官の調査で、家裁調査官がどのような意見を言うか、というのは親権がどちらに認められるかということに大きく影響することになります。

よって、次回は、家裁調査官がどのような点を重視して調査をし、意見(父母のどちらに親権を認めるべきか等)を出しているかについて、述べていくことにします。

 

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