弁護士の山田雄太です。
紛争の解決手段について、前回まで(紛争の解決手段(1)~(3))は、裁判上での解決手段について簡単に述べてきました。
今回は、裁判外(主に裁判前)の紛争解決手段について述べたいと思います。
基本的には、弁護士が代理人となり、何らかの請求をする際には、すぐに訴訟提起をするのではなく、裁判前の交渉をすることが通常です(もちろん交渉の余地がなければいきなり訴訟ですが。)。
では、裁判前に交渉をする意味合いというのはどこにあるのでしょうか。
第1に、何よりも早期の解決が期待できることが挙げられます。
訴訟というのは、やはり当事者にとっては大きな負担であることは間違いなく、請求をする側、請求をされる側ともに、訴訟を避けて、早期に解決しようとするのは、十分あり得る選択だといえるでしょう。
ただし、早期の解決には、双方の合意が成立することが前提となるため、双方の主張に大きな差がある場合には、なかなか合意を成立させることは難しいかもしれません。
双方の主張に大きな差があり、双方とも譲る気配がない場合には、裁判前の早期の解決は諦め、早めに訴え提起に踏み切ることはあり得ることだと思います。
第2に、訴訟によりさまざまな事実が公にさらされるリスクを避けることができることが挙げられます。
これは、主に請求をされる側に当てはまることだと考えられますが、訴訟により、請求をされる側に不都合な事情が色々と明らかになることが想定される場合には、訴えを提起される前に早期に解決すべきという方向に大きく傾くことになるでしょう。
もっとも、このような場合には、請求する側もかなり強気の姿勢で交渉に臨んでくることが想定されるため、とてもではないが飲めない条件を提示してくる可能性もあります。
この場合は、請求をされる側は、かなりの譲歩をすることを覚悟した上でも、裁判前の和解を試みるか、あるいは、不都合な事情が明らかになったとしてもやむなしということで、裁判での解決目指すか、難しい判断をしなければならないと思われます。
第3に、訴訟による不要な傷つけ合いを避けることできることが考えられます。
訴訟をすると、双方がとり得る全ての主張をすることが通常想定されます。
特に、親族間での紛争がこの場合にあたることが多いのですが、お互いの非難を続けるような訴訟をすると、双方が非常に傷つきます。
そのようなことは、将来的な関係修復を不可能にする可能性すらあり、このような場合には、弁護士としては、直ちに訴訟に踏み切るよりも、裁判前の交渉で穏当に解決すべきという考えに傾くことも多いと思われます。
このように、裁判前の交渉というのは、仮に上手くいかなかったとしても、試みる価値はあると思われます。
ただし、交渉をずるずる行い、結局和解が成立せず裁判に踏み切るということになると、交渉をしていた分だけ解決が先延ばしになるリスクがあるため、交渉での解決が難しそうであれば、どこかで見極めをして裁判に踏み切るということも重要になると思われます。
※ あわせて読みたい記事
その①
その②
その③
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